【取り壊し】日本初の常設サーキット「多摩川スピードウェイ」を訪れる。最後にこの目に焼き付けて。
日本初の常設サーキットである「多摩川スピードウェイ」。
かつて多摩川の河川敷にあったサーキット、今ではサーキットのコースは無くなってしまっていますが、当時の観客席のみがそのまま遺構として残されています。
しかし、その観客席が、河川敷の堤防工事によって2021年の10月に取り壊し予定であることが判明しました。
日本自動車産業、モータースポーツ界の貴重な貴重な財産が未来永劫失われてしまうかもしれないということで、今回、最後にこの目で見に行くこととしました。
多摩川のほとりに存在していた「多摩川スピードウェイ」
多摩川スピードウェイは多摩川の河川敷に存在していました。本当に河川敷で、すぐそばを川が流れているような場所です。当時はどうだったのか分かりませんが、河川敷にサーキットを造営するなんて今の感覚ではかなり珍しい、と思います。
このサーキットが誕生したのは1936年5月9日。コースはオーバル型で、一周1,200mのそこまで大きくはないコースでした。
ここで実際にレースが行われたのは1936年6月7日に開催された「第1回全国自動車競走大会」であり、海外メーカー、国内メーカーが入り混じって参戦していたようです。
そして、その一回大会には、あの本田宗一郎氏もドライバーとして参加していたのでした。
ただ、自動車のレースが行われたのは1938年までとのことで、自動車の競技場としてはかなり短命であったようです。オートバイのサーキットとしてはその後も使用されていたようですが、騒音問題などもあり、1952年までにはサーキットは廃止されてしまいました。
そんな、短いながらも、人々の記憶に残る歴史を刻んだ多摩川スピードウェイ。その遺構が、2021年の10月以降消滅してしまうというのです。(急ですよね)
歴史についてはこちらのページで非常に詳しく説明されていますので、是非ご覧になってください。(外部サイト)
貴重な遺構をこの目で見ておきたい
そして、こちらが多摩川スピードウェイで実際に使用されていた客席です。
なんでしょう、こういう堤防ってありますよね。全然違和感がなくて、これが遺構だって言われないと全然分からないです。
河川敷は歩道なども整備されており、お散歩やランニングなどする方もかなり多くいらっしゃいますが、ここが歴史的な場所だと存じ上げているかたは少ないでしょうね。
ちゃんとここが「多摩川スピードウェイ」であったことを示すプレートも埋まっています。
数十メートルに渡ってこの観客席は続いています。
のどかで平和で、ちょっと都会的な良い風景ですね。
こんな穏やかな場所で、熱狂的なレースが行われていたのかと思うと、感慨深いです。
本当になくなってしまうのか。いつなくなってしまうのかなどの詳細な情報は不明ですが、ご興味のある方はぜひ一度、見てみるのもよいかと思います。
ただ、本当にこの観客席だけしか残っておらず、他に何も見るものはないですが。。
<<2021/10/09追記>>
多摩川スピードウェイの取り壊しについて、「多摩川スピードウェイの会 (Tamagawa Speedway Society)」公式facebookにて現況が記載されていたので一部引用させていただきます。
新たな堤防上への「部分移設」(観客席の一部を切り出して再設置)を行うことについて、国交省は工事・維持管理を行わないが、川崎市の占用を条件に協力可能との提案がありました。これを受け、当会も部分保全に方針を変更して交渉を続けておりましたが、川崎市としては工事・維持管理ともに行わない旨、9月28日に正式回答がありました。
川崎市では完全移設、部分移設共に行う気はない(全面取り壊しの方針に変わりはない)ということのようです。また、
国交省によると、10月18日には観客席の立ち入りが制限され、11月初旬には取り壊しを開始するとのことです。建設当時のままの観客席を見ることができるのは、本当にあとわずかの間です。
とのこと。自由に立ち入ることができるのは10月17日まで、というのが現状のようです。本当になくなってしまうのですね…。
見たい方は本当に急いで観に行ったほうが良さそうです。
アクセス・駐車場
跡地はこちら↓
最寄り駅は東急東横線/目黒線の新丸子駅。徒歩12分程度です。
なお隣駅の多摩川駅からも歩くことが可能で、そちらからは徒歩15分程度。
電車でも気軽にアクセス可能です。
今回私達は車で伺いましたが、利用した駐車場は、お隣の「丸子橋河川敷駐車場」。
こちらの通常料金は1回500円。ですが12月~2月末は無料なようです。
営業は土日祝のみで、営業時間は時期よって異なっており下記です。
- 開場時間(前期):4月1日~10月末日 午前6時~午後6時30分
- 開場時間(後期):11月1日~3月末日 午前6時~午後4時30分
川崎市のウェブサイトで詳細な情報が記載されていますので、是非そちらもご覧ください↓
さいごに
日本で最初の常設サーキットである「多摩川スピードウェイ」。
唯一残る観客席を見られるのは今のうちだけ。取り壊しになってしまったら、その時点でもう二度とお目にかかることはできなくなってしまいますから。
個人的な感想としては、取り壊されるのはうら寂しいという気持ちがあります。全くの部外者なので意見を言うのは差し控えます。が、このような歴史的遺構は、一度無くなってしまえば、似せて復元はできようとも、本物に触れる機会は永遠に失われてしまうということが、一つの事実として目の前にさらされています。
(金閣寺なんかは代表例ですよね。戦争を耐え抜いたのに人災によって失われるなんて…)
ですので、ちょっと期間は短いかもしれませんが、是非、見られるうちに足を運んで、実際にご自身の目でご覧になってみてください。それは今、この時代に生きていられた人間の特権ですからね。
今回は旅行とは全く関係ない記事となってしまいましたが、お付き合いありがとうございました!ではまた~